事務所便り2019

2019年12月号 事務所便り「マイナンバーカードで旧姓併記が可能に、企業への影響は?」

マイナンバーカードで旧姓併記が可能に、企業への影響は?

マイナンバーカードで旧姓併記が可能に、企業への影響は?

住民票、マイナンバーで旧姓併記開始

改正住民基本台帳法施行令等の施行により、11月5日から、住民票、マイナンバーカード、印鑑登録証明書、公的個人認証サービスの署名用電子証明書等に、旧姓・旧氏(きゅううじ。戸籍上、過去に記載・記録された氏のこと。以下「旧姓」で統一します)を併記することが可能になりました。

数年前から内閣府・男女共同参画局「女性活躍加速のための重点方針2016」等に盛り込まれていた政府方針が、実現したかたちです。

旧姓併記により、結婚等により姓が変わった人は、さまざまな本人確認のシーン(契約、銀行口座名義、就職・転職時……)で、証明に旧姓を用いることもできます。

併記の手続き

旧姓併記の希望者は、旧姓が記載されている戸籍謄本等を用意し、マイナンバーカード(通知カード)を市区町村役場に提出します。

まだマイナンバーカードを作成していない人であれば、「山田[佐藤]花子」というように、姓と名の間にカッコ書きで旧姓が併記されたカードが交付されます。

企業に職場の旧姓使用を認める義務はあるか

職場で旧姓を使用することについて争った裁判(日本大学第三中学・高校事件、東京地判平28・10・11)では、企業は旧姓使用を認めるよう配慮することが望ましいとしつつ、旧姓使用を認めないことは違法ではない、とされました。企業は、旧姓使用を認めなければならない法的義務までは負っていないものの、むしろ積極的に旧姓使用を認めることが有効といわれています。

旧姓は「使い分け」から「併記」の時代へ?

今回の旧姓併記は、主に女性が結婚後も旧姓を広く使いやすくすることを目的としたものといえます。企業実務においては、従業員の姓をシーンによって使い分けるのは珍しいことではありません(労働社保など雇用管理上の事務処理は戸籍上の姓で行い、対顧客等には広く認知されている旧姓を用いるなど)が、いずれは「使い分け」ではなく「併記」をすることが主流となるかもしれません。

【総務省「住民票、マイナンバーカード等への旧氏の記載等について」】

http://www.soumu.go.jp/main_content/000614623.pdf

有給取得率の調査結果と今後

平成30年の年次有給休暇の取得率は52.4

厚生労働省は平成31年「就労条件総合調査」の結果を公表しました。調査によれば、年間の年次有給休暇の平均取得率は52.4%で、前年に比べて1.3ポイント上昇しています。取得率を企業規模別にみると、「1,000人以上」が58.6%、「300~999人」が49.8%、「100~299人」が49.4%、「30~99人」が47.2%となっており、規模により最大10ポイント近くの差がみられました。

なお、本調査は平成30年の1年間の状況について調査を行ったものですので、本年4月に施行された改正労働基準法による年次有給休暇年5日取得義務化前についての調査になります。

企業規模が小さいほど休みが少ない

また、公表された調査によれば、週休制の形態別適用労働者割合をみると、「完全週休2日制」が適用されている労働者割合は57.0%とありますが、その割合は企業規模が小さくなるほど低くなっています。年間休日総数についても、1企業平均は108.9日、労働者1人平均114.7日となっていますが、いずれも大企業ほど多く、小規模企業ほど少なくなるという傾向は変わりません。

年次有給休暇年5日取得の義務化

本年4月から、働き方改革法に伴う年次有給休暇年5日取得義務化が適用されています。

有給休暇取得率の低さについては以前から問題となっていましたが、法律の規制がかかったことで、企業でも取得率向上に向けた取組みが本格的に実施されているところでしょう。来年の調査結果には注目したいところです。

企業の現況を踏まえた取組みを

上記の調査結果の通り、中小企業ではもともと休みが少ないという実態があります。それにはそれなりの理由があるのでしょう。現在、働き方改革による大企業の残業時間削減のしわ寄せが中小企業に及んでいるという問題も指摘されており、厚生労働省も「しわ寄せ防止特設サイト」を設けて防止を呼び掛けています。そのため、特に中小企業にとっては、有給休暇取得義務化への対応は困難となることが予想されますが、根本的な問題への対応を検討しつつ企業としてしっかり取り組んでいきたいところです。

12月の税務と労務の手続提出期限

[提出先・納付先]

10日

  • 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
  • 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>

[公共職業安定所]

  • 特例による住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]

31日

  • 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
  • 健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
  • 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
  • 外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
  • 固定資産税・都市計画税の納付<第3期>[郵便局または銀行]

※都・市町村によっては異なる月の場合がある。

本年最後の給料の支払を受ける日の前日まで

  • 年末調整による源泉徴収所得税の不足額徴収繰延承認申請書の提出

[給与の支払者(所轄税務署)]

  • 給与所得者の保険料控除申告書、給与所得者の配偶者控除等申告書、

住宅借入金等特別控除申告書の提出[給与の支払者(所轄税務署)]