事務所便り2019

2019年7月号 事務所便り「マイナンバーカードの普及·利活用の促進と企業実務への影響」

マイナンバーカードの普及·利活用の促進と企業実務への影響

マイナンバーカードの普及·利活用の促進と企業実務への影響

政府の方針

6月4日のデジタル・ガバメント閣僚会議で、「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」が公表されました。その柱は下記の4点です。

1.自治体ポイントの活用(令和2年度;消費活性化策)

2.マイナンバーカードの健康保険証利用(令和3年3月から)

3.マイナンバーカードの円滑な取得・更新の推進等

4.マイナンバーカードの利便性、保有メリットの向上、利活用シーンの拡大

このうち企業の実務に影響があるのは、2の健康保険証利用です。

健康保険証への利用実現へ向けて

マイナンバーカードを健康保険証として利用することにより、①医療の質の向上、②被保険者の利便性の向上が期待されますが、環境整備も必要です。医療機関側でマイナンバーカード利用のための端末、システムを整備するための支援が検討課題です。

保険者からも円滑な移行を促すため、保険者から事業主、加入者等へのマイナンバーカード取得要請とそのフォローアップを行うとともに、保険者による被保険者のマイナンバーカードの初回登録の促進を図るとされています。

企業の総務事務の効率化を促進するための方策

マイナンバーカードの健康保険証利用は、企業の健康保険に係る事務のコスト縮減につながることが期待されます。さらに、マイナンバーカードの民間活用等を通じて社員の健康管理への活用等が促進されるよう、モデル事業等を行うとされています。

また、マイナンバーカードの社員証等の各種証明としての活用が促進されるよう、利用手続の簡素化等を実施するとともに、令和2年11月頃より、企業が行う従業員の社会保険・税手続のワンストップ化を開始できるよう取組みを推進します。

あわせて、令和2年4月より、情報システムに係る調達等において、マイナンバーカードの普及実績等を評価する仕組みを導入します。

社会保険・税手続きのワンストップ化の流れ

政府の報告によれば、従業員の採用、退職等のライフイベントに伴う社会保険・税手続きについては、①令和2年11月からマーナポータルを通じたオンライン・ワンストップ化を開始し、②令和3年度後半から、企業が保有する情報のクラウドを活用した提出の実現を目指すとされています。マイナンバーカードの普及はそれに向けての重要な役割を担っており、情報漏洩のない安全な運用が期待されます。

男性の育児休業取得率とパタハラ

育児休業取得率、女性は高水準・男性は低調

厚生労働省「平成30年度雇用均等基本調査(速報版)」により、最新の育児休業取得率(調査対象事業所における、出産者(男性の場合は配偶者が出産者)のうち育児休業を開始した者の割合)が判明しました。

女性の取得率は82.2%で、10年以上高水準で安定しています。その一方、男性の取得率は6.16%ということで、6年連続で上昇してはいますが、依然としてきわめて低調です。

パタハラ疑惑で炎上する企業

おりしも、大手化学メーカーにおいて、パタニティ・ハラスメント(男性の育休取得者への嫌がらせ)疑惑が取りざたされています。報道等によれば、ある男性社員が約1カ月弱の育児休業休職を取得したところ、職場復帰した翌日に転勤を命じられ、その後の転勤時期をずらす交渉等もまとまらず、退職を余儀なくされたといいます。男性の妻が、社名をほのめかした発信をTwitter上で行い、またたく間に社会問題化してしまいました。

同社は「くるみん」(厚生労働省による子育て支援に積極的な企業への認定マーク)を取得していたため、前述の議連からも「くるみんを取得していても、あのような事例があったのは残念」と名指しでコメントされる等、望ましくない事態となっています。

違法性がなければよい、とは限らない

法律上、使用者は「労働者の子の養育(略)の状況に配慮しなければならない」(育介法26条)とされていますし、必要性のない配置転換であれば「権利の濫用」(労契法3条5項)とみなされる恐れもあります。また、違法性がないとしても、ハラスメント行為と世間からみなされることとなれば、上記化学メーカーのように大きなイメージダウンとなり、企業活動にも支障をきたすことでしょう。

法律の正しい理解と、マタハラ・パタハラを生まない職場づくりが大切です。

【厚生労働省「平成30年度雇用均等基本調査(速報版)」】

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05049.html

7月の税務と労務の手続提出期限

[提出先・納付先]

10日

  • 健保・厚年の報酬月額算定基礎届の提出期限[年金事務所または健保組合]<7月1日現在>
  • 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
  • 特例による源泉徴収税額の納付<1月~6月分>[郵便局または銀行]
  • 雇用保険被保険者資格取得届の提出[公共職業安定所]<前月以降に採用した労働者がいる場合>
  • 労働保険の今年度の概算保険料の申告と昨年度分の確定保険料の申告書の提出期限<年度更新>[労働基準監督署]
  • 労働保険料の納付<延納第1期分>[郵便局または銀行]

16日

  • 所得税予定納税額の減額承認申請<6月30日の現況>の提出[税務署]
  • 障害者・高齢者雇用状況報告書の提出[公共職業安定所]

31日

  • 所得税予定納税額の納付<第1期分>[郵便局または銀行]
  • 労働者死傷病報告の提出[労働基準監督署]<休業4日未満、4月~6月分>
  • 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
  • 健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
  • 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
  • 外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
  • 固定資産税・都市計画税の納付<第2期>[郵便局または銀行]