YELL便り2021

2021年3月号 YELL便り 「利用者急増!“退職代行”サービス/勤続年数の長期化を見すえた人事制度を考えるために」

利用者急増!“退職代行”サービス/勤続年数の長期化を見すえた人事制度を考えるために

利用者急増!“退職代行”サービス

◆“退職代行”とは

近年、退職代行サービスの利用者が増加しています。
退職代行サービスとは、直接退職の意思を伝えることが難しい従業員に代わり、退職意思の伝達や、処理を行うものです。
利用者は退職する企業と一切やり取りをすることなく、自分で辞めるよりもスムーズに退職できると謳う業者が多いのが特徴です。
一方、弁護士のいない代行会社も多く、その場合は利用者の意思・希望の伝達以上のことはできません。
退職にまつわる交渉等をするには、企業は従業員本人と連絡をとらなければなりません。
費用は3~5万円が多く、弁護士に依頼するよりも当初の費用は抑えられますが、代行する行為にも制限があるのが特徴です。

◆背景にある問題

利用者が増加する背景には、さまざまな問題があります。退職代行サービスを利用する理由として多いのは、次のようなものです。
1.退職の意思を伝えたが、人手不足や上司の多忙等を理由に受け入れてもらえない
2.パワハラがあり、相手の態度・言動が怖くて退職を言い出せない
3.執拗な引留め交渉に時間を取られたくない
従業員本人としては退職の意思が固まっているにもかかわらず、企業側がそれを受け入れないという状況が読み取れます。「自分の意思が尊重されないのでは」という思いが利用者側にあるようです。

◆企業の対応

従業員が退職代行サービスを利用すると、ある日突然、代行会社から企業に連絡がきます。
書面や電話等により、「当該従業員は本日より出社できない、有給を消化したうえで退職したい、以降の連絡は退職代行会社へしてほしい」という旨を伝えられることが多いようです。
突然出社しなくなるため、退職の理由を従業員本人から聞く機会もなければ、業務の引継ぎも難しい場合がほとんどです。
原則として退職は自由です。
それが従業員本人の意思であれば、企業は退職を受け入れ、必要な手続きを速やかに行うのが一般的です(交渉すべき事項がある場合は除く)。
問題がこじれるのを防ぐためにも、従業員が退職代行サービスを利用しなくてもよいと思える環境を企業が整備することが求められます。

勤続年数の長期化を見すえた人事制度を考えるために

◆人生100年時代

独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った「人生 100 年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査」には、勤続年数の長期化を見すえた対応を行う際に参考になるポイントが掲載されています。

◆管理職への昇進が見込めなくなった場合の処遇

管理職への昇進が見込めなくなった正社員の処遇については、「昇進・昇格がないまま勤続」との割合が77.9%と最も高くなっています。
次いで管理職相当の専門職として処遇する(34.4%)、管理職相当の社員格付けとする(30.5%)と続いています。
以上は中小企業での割合ですが、大企業でも同じような傾向です。

◆キャリア形成のための人事制度とその効果

目標管理制度やキャリア面談等の人事制度について、39歳までの若年層では「メンター制度」が特に効果的なようです。
高年齢層では全般的に制度導入効果が低いようで、特に自己申告制度などは若年層と比べて効果が薄いか逆効果になる場合(60歳以上)もあるようですが、「社会貢献参加」の制度については効果がありそうです。
ボランティアなどの「社会貢献参加」活動の人材育成効果は、社会の価値観に触れる機会(69.5%)、社外ネットワークの拡大(48.6%)、新しい視点の獲得(37.0%)などが多くなっています。
大企業も中小企業も同様の傾向です。

◆兼業・副業の取扱い

中小企業の44.0%が、就業規則で兼業・副業を禁止しています。
一方で、「規定がない」との回答が32.3%となっています。
いざというときに慌てないように自社の方針を検討しておきましょう。

◆改正高年齢者雇用安定法の施行

改正高年齢者雇用安定法が4月1日に施行されます。従業員の70歳までの就業確保を努力義務とする規定が盛り込まれています。
努力義務となってはいますが、計画的に対応を準備しておきましょう。
【(独)労働政策研究・研修機構「人生 100 年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査」PDF】
https://www.jil.go.jp/press/documents/20200529.pdf

3月の税務と労務の手続提出期限

[提出先・納付先]

10日

  • 源泉徴収税額・住民税特別徴収税額の納付[郵便局または銀行]
  • 雇用保険被保険者資格取得届の提出<前月以降に採用した労働者がいる場合>[公共職業安定所]

15日

  • 個人の青色申告承認申請書の提出<新規適用のもの>[税務署]
  • 個人の道府県民税および市町村民税の申告[市区町村]
  • 個人事業税の申告[税務署]
  • 個人事業所税の申告[都・市]
  • 贈与税の申告期限<昨年度分>[税務署]
  • 所得税の確定申告期限[税務署]
  • 確定申告税額の延納の届出書の提出[税務署]
  • 財産債務調書、国外財産調書の提出
  • 総収入金額報告書の提出[税務署]

31日

  • 健保・厚年保険料の納付[郵便局または銀行]
  • 健康保険印紙受払等報告書の提出[年金事務所]
  • 労働保険印紙保険料納付・納付計器使用状況報告書の提出[公共職業安定所]
  • 外国人雇用状況の届出(雇用保険の被保険者でない場合)<雇入れ・離職の翌月末日>[公共職業安定所]
  • 個人事業者の消費税の確定申告期限[税務署]